何とかしてあげたい?|対人支援に必要なネガティブ・ケイパビリティという力

あの時、
もっと適切な言葉を
かけられなかっただろうか。

私にできることは
もっとあったんじゃないかな。

そんなふうに
家族に対して


また
対人援助のお仕事をされている方は
思ったことはありませんか。

私は「聴く」ということを
また別視点で学び

ロールプレイを重ねるたびに感じたのは
「役に立ちたい」
「何とかしてあげたい」
そう思う気持ちが
とても強くあることでした。


もちろん。
それは悪いことではないと思うのです。

目の前で不安な人がいたら
少しでも力になりたい。
少しでも笑顔になってほしい。

その気持ちは
人を大切に思うからこそ
生まれる自然な感情ですが
その思いが強いほど
私はついつい無意識に
「答え」を探そうとしていました。

以前から言葉として
聞いたことははあったのですが
とても響いた言葉。

ネガティブ・ケイパビリティ

焦って答えを探さなくてもいい。
急いで励まさなくてもいい。

その人が
自分の答えにたどり着くまで、
安心して迷える時間を一緒に過ごす。

わからないまま、そばにいる。

この言葉は
今年私を何度も救ってくれました。


目次

私たちは「答え」を出すことに慣れすぎている


学校では正解を学びます。

仕事では、
問題を解決することが求められます。

困っている人がいたら、
「こうしたらどう?」
「これを試してみたら?」
なんて言ってみたり

だから誰かが悩んでいれば
励ました方がいいかな。
元気づけた方がいいかな。
前向きな言葉をかけた方がいいかな。

そんなふうに考えたりしませんか?

でも人生には
「正解」が存在しない出来事って
たくさんありますものね。


例えば、子育て。

講座やセッションでも
お母さんたちからよく聞くのが

「スマホで検索すると、どんどん不安になるんです。」
という言葉です。

夜泣き
発達
離乳食
反抗期
思春期

検索すれば
たくさんの情報が出てきます。

「こんな場合は注意!」
「もしかすると〇〇かもしれません」
「○歳までに○○できないと…。」

確かに必要な良い情報もあります。

何気なく検索したはずなのに
関連記事やおすすめ動画には
似たような内容が次々と表示されます。

これをフィルターバブルと呼びますが

一度検索した内容に合わせて
AIや検索システムが
「あなたはこの情報に興味があるのですね~」と判断して
似た情報を優先的に表示してくれる仕組みです。

便利ですが
不安な気持ちで検索していると
不安を強める情報ばかりが集まってきます。

反対側の視点を
自分がしっかり持っておかないと
いけないといいますか・・

「もしかして発達に問題があるのでは…」
そう思って検索すれば

「見逃してはいけないサイン」
「実はこんな特徴も」
「早めの対応が必要」
そんな記事や動画が次々と表示されます。

そうすると
やっぱり何かあるのかもしれない・・
うちの子も当てはまる気がする・・

不安はさらに大きくなり
また検索する。
不安を強める情報が表示される。

まるで出口の見えない
沼にはまっていくようです。

気づけば
目の前にいるわが子を見る時間よりも
スマホを見る時間の方が長くなっている。

目の前のわが子よりも
スマホの情報の方が正しい。

そんな感覚になってしまうことさえあります。

でも
本当に大切なのは
検索結果ではなく

今日のわが子の表情。
いつもと変わらない笑顔。
少しずつできるようになったこと。

目の前にいる
その子自身を見つめることではないでしょうか。

人生には、答えがすぐに見つからないことがある

これは子育てだけの話ではありません。

私たちは
「わからない」と感じるほど
答えを探したくなるものです。
(自戒を込めて書いております・・)

だから検索したり
本を読んだり
人に聞いたりします。

それ自体は悪いことではないけれど
どれだけ調べたところで
「これが正解です」なんてことが
ないものは多いわけです。

子育て
思春期
介護
病気
大切な人との別れ
仕事や未来への迷い

このままでいいのかなという将来への不安。

どれも
「こうすれば必ずうまくいきます。」
なんてものだってないわけで・・

だからこそ
人は悩み、迷いながら
自分なりの答えを少しずつ見つけていくのでしょうね。

そして
そんな場面に関わる私たち支援者もまた

「答えが出ない時間」
に立ち会うことが何度だってあります。

すぐに解決できない。
励ましだけでは前に進めない。

そんな時間を一緒に過ごすことも
支援の大切な役割なのだと
改めて何度も感じました。

「何とかしてあげたい」は、とても優しい気持ち

誰かを大切に思う人ほど
早く楽になってほしい!
元気になってほしい!
笑顔になってほしい!

そう願います。

でも、それが強くなるほど
相手がまだ整理できていないのに
こちらが答えを急いでしまうことがあります。

「そんなふうに考えなくても大丈夫。」
「きっと何とかなるよ。」
「前向きに考えよう。」


その言葉に救われることも
もちろんあるでしょう!

ただ。
まだ気持ちが
追いついていない人にとっては
その言葉がかえって
モヤモヤを増やすこともあります。


「安心して迷える場所」をつくっていくこと

お相手の人生はお相手自身のもの。

支援者が答えを渡すのではなく、
お相手が自分で気づき
考え、選んでいけるように伴走していけること。

沈黙があってもいい。
迷っていてもいい。
答えが見つからなくてもいい。

安心して迷える場所があるからこそ
自分の言葉を見つけ
自分の足で歩き始めることができるのだと思います。


振り返るとタッチケアも同じでした

私は長年
タッチケアをお伝えしてきました。

タッチケアって
何かをすぐに解決するための技術ではありません。

触れたからといって
悩みがなくなるわけではありません。

でも
緊張していた身体がゆるむ。
呼吸が深くなる。
心がほどけてくる。

「大丈夫」という感覚が戻ってくる。

安心という土台ができることで
人は本来持っている力を取り戻していきます。

無理に変えようとしなくても
安心・自己信頼があるから
人は自分で変わっていける。

ネガティブ・ケイパビリティと
重なりあうような時間を過ごしました。


私自身がこの言葉に救われました

何度も自分に問いかけました。

「もっと良い支援ができたのではないか」
「もっと上手に聴けたのではないか」

そう自分を振り返る時間も
たくさんありました。

この言葉に出会って

答えを出せないことが
未熟なのではない。

答えが出ない時間を
一緒に安心して過ごせること。

それもまた
大切な支援なのだと。

そう思えた時
私も肩の力が少し抜けました。

と同時に
無意識に【解決思考】が
働いていたのだなと気づきました。


私たちの日常にも必要な力

ネガティブ・ケイパビリティは
支援職だけに必要なものではありません。

子育てでも
介護でも
パートナーシップでも
友人関係でも
職場でも。

すぐに結論を出そうとしないこと。

相手を信じて待つこと。

そして
自分自身にだって
「今はまだ答えが出なくても大丈夫!」
そう言ってあげること。

その余白こそ
自分らしい答えを見つけていけるのかもしれないですね。

タッチケアアドバイザー養成講座


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